果物が実る。そのメカニズム。

最終更新: 2020年5月20日


加温ハウスではデラウェアが着粒し、元気よく成長しています(^^)/



ブドウ農家として、この着粒するまでが一つの節目で



着粒歩合が良ければ、ちょっとした達成感があったりします(#^^#)





さて今回は「果物が実るメカニズム」ですが




前回ブログの反響がよかったので👇https://www.orahobundo.com/post/%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%A1%9C-%E3%81%AA%E3%81%9C%E6%81%AF%E3%81%8C%E9%95%B7%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F%EF%BC%9F

波にノッて、また植物ホルモン語りまーす♥




果実が実る=「結実」ともいいます。




ベテランの果樹農家さんでも結実不良に陥る事があります。




更に近年は異常気象が日常化し、短期間でも気象変動が大きくなり




今後、開花期の悪天候で結実が確保できないことが予想されます。




と言うか、既にその現象は起きています。




なので、これまでの栽培上、安心安全と言われてきた慣行栽培を普及する農業技術普及員やJA営農指導員の方々に



農業スキルの全てを依存する事は個人的に非常に怖い事だと思います。


(だからと言って普及員さんやJA指導員を批判はしてませんよ。依存しきっている農家さんが危険だと言っているのです。それに普及員さん方々はJA時代では大変お世話になりましたし、今も青年農業士等でお世話になってますm(__)m笑)




加えて、慣行栽培はこれまでの農業技術の積み重ねで成り立っています。



だからこそ、これからの気象変動に極端に弱いという一面をもっています。





なので今回の結実のメカニズムを知るという事はホント有料級のお話です(笑)






今回の話しは少し難解かと思い



各植物ホルモンとその役割を車の部位に例えて



「結実するメカニズム」を



「車の運転をする」で、オーバーラップしてみました。






今回の植物ホルモンは前回登場したジベレリンに加え


サイトカイン


オーキシン が登場します。






ジベレリンは肥大を促す【アクセル】



サイトカイニンは花を促す【ブレーキ】



オーキシンは根を促す【ハンドル】




この3つのホルモンがバランスよく働いて




結実を実現しています。




どーゆーことか説明していきますね(^^)






●それぞれのホルモンはどこで作られるのか?


ジベレリンは根で作られ、春先の気温上昇ととも発芽を促します。




サイトカイニンも根で作られ、気温上昇とともに花の形成をはじめます。




オーキシンは新梢の先端などでその多くを作られ、根を伸ばしていきます。






●どんな働きをするのか?


前回ブログでも言いましたが


○ジベレリンはチッソ(降雨)で活性化します。

   ↓

 春先に雨が多ければ新梢が勢いよく成長します。




〇サイトカイニンは乾燥で活性化します。

    ↓

 ジベレリンに拮抗して働き、

 春先に乾燥が続けば開花が早まります。





〇オーキシンはジベレリンに比例しますので

   ↓

 新梢の分だけ根を伸ばそうとします。






●結実に対して、それぞれがどう影響するのか?


もし、開花時にジベレリンが過剰になれば花びらがなかなか散らずに結実の不良が起きます。

(ジベレリンは花びら、葉、実などを枝木から離さない作用がある。)



オーキシンも比例して過剰となり、土の下では根の動きが活発化しています。


(根が暴走する。)




反対に、


開花期に乾燥が続けばジベレリンとオーキシンは抑制されサイトカイニンが活性化し、花びらが早く散ります。


(サイトカイニンは花びら、葉、実などを枝木から離す作用がある。)



この時に良好な結実が望めます。












つまり、


「車の運転」で例えると、結実は「進路変更」と同じです。





上手に進路変更するためには、




アクセルを緩め(ジベレリンを抑える)




ブレーキを踏んで(サイトカイニンを効かせて)




ハンドルを切って(オーキシンを抑制して)




目的の場所へ進む(実を成らせる)


(例えがうまいっ!笑)







ここで問題になってくるのは




どうやって安定的な結実をさせるのか??です。





ここに果樹農家さん方々が、経験的・感覚的に知っていることがたくさん隠れています。


だって生活がかかってるのですから。





ですので、結実確保のスキルは数知れません。







植物ホルモンの視点に立って解説すると、




施設栽培(ビニール被覆など)は水分のコントロールがある程度可能なので




比較的、安定した結実は望めますが




では、雨を避けられない露地栽培で開花期の長雨にどう対処したらよいのか??




大切なことは、ジベレリンの活性化を避ける事。です。




その為に出来ることは、事前に




・剪定作業で枝を切りすぎない事。


・出来る限り、施肥は控える事。 などがあげられます。




これらを意識しておけば、




開花期が長雨の場合でも、ジベレリンの活性化を和らげることが出来ると思います。




口酸っぱく言いますが、

ジベレリンは降雨(チッソ)に反応します。




少量の雨でもジベレリンが過剰に反応する樹形や土壌状態は危険がいっぱい隠れています。



これはアクセル全開の暴走車と同じ状態です。



くれぐれも進路変更の前にアクセルを踏み込まないように。









他産業にも言える事ですが、




👆このような、これまで経験的で感覚的だった知識は




会得するのに大変な労力と時間がかかってきました。


(「それが当たり前だ。」という方が大半でしょう。)





だからこそ、

これからの時代、農業は世代交代しにくい産業であることが透けて見えます。






この植物ホルモンの働きや役割を学ぶ事で



これまで謎だった植物の不思議をロジカルで把握することが可能になります。



植物ホルモンだけでなく、



これまでの農業産業で発掘されなかった新しい視点に立ち、



これからの農家が、時間を圧縮出来るスキルにエネルギーを注ぎ込めば



産業として発展すると信じています。






今回はこの辺にて!



今回も長文にお付き合い下さりありがとうございました(#^^#)